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子ども期のトラウマと
複雑性PTSD

当事者が考える回復へのプロセス

心のケアの本棚:症状に向き合う一冊

当事者にとって理解しやすく、回復に役立つと思う本を紹介します。

『複雑性PTSD:生き残ることから生き抜くことへ』

著者 ピート・ウォーカー
訳者 牧野有可里、池島良子
出版社 星和書店
出版日 2023年4月28日
ISBN 978-4-7911-1113-8

複雑性PTSDと診断されたら、まずこの本をおすすめします。
著者は、複雑性PTSDを抱えている心理療法士です。ご自身も経験しているからでしょうか、症状の説明が非常にわかりやすく、回復への考え方やケアの方法も当事者に寄り添ったものになっています。
「自分は複雑性PTSDかもしれない」と思った方にとっても、本書を参考にすると気づきがあるかもしれません。
私はこの本に出会ったおかげで、心から「回復したい」と思えるようになり、回復に向けて具体的に行動できるようになりました。
当事者がどのように複雑性PTSDと向き合えばいいのか、最もわかりわすく書かれている本だと思います。

『セルフケアの道具箱』*1、『カウンセラーはこんなセルフケアをやってきた』*2

著者 伊藤絵美
出版社 晶文社
出版日 2020年7月5日(*1)、2023年7月15日(*2)
ISBN 978-4-7949-7181-4(*1)、978-4-7949-7371-9(*2)

複雑性PTSDに特化した本ではありませんが、ストレスや生きづらさといったメンタルの不調に対するセルフケアについて、わかりやすく実践しやすい形で紹介してくれています。
私はフラッシュバックが起きてしまった後の落ち込みから回復するために、この本の内容を参考にしました。
また、本書にも言及されている「早期不適応的スキーマ」は、自分自身の心理状態を客観的に知る手がかりになり、その後の回復や複雑性PTSDへの理解を深めるために大きく役立ちました。

『テキストブックTSプロトコール : 子ども虐待と複雑性PTSDへの簡易処理技法』

著者 杉山登志郎
出版社 日本評論社
出版日 2021年9月30日
ISBN 978-4-535-98511-7

著者が確立した簡易型トラウマ処理技法(TS(traumatic stress)プロトコル)を紹介した本です。
ACEsと発達障害や複雑性PTSDの関連、症状についても言及しつつ、プロトコルを具体的に紹介しています。
セルフケアについても、「可能であれば専門家による治療が必要不可欠」だとした上で、やむを得ず実施するときの注意事項などが記載されています。
「被害と加害は結局のところ、実は同じものであることを認識してほしい。大切なのは虐待の連鎖をあなたの世代で切ることである。」という筆者の願いが、私の回復への原動力になっています。

『子どもの感情コントロールと心理臨床』

著者 大河原美以
出版社 日本評論社
出版日 2015年7月10日
ISBN 978-4-535-56321-6

「感情制御の発達不全」を軸に、親子の愛着不全と心の傷、それが心の発達に与える悪影響について記載されています。
複雑性PTSDの根本原因を私なりに考察するための示唆を与えてくれましたのが本書でした。
特に、心が健全に育つための基本は「不快感情(不安・恐怖・怒り・悲しみなど)を安全に抱える力」を獲得できるかに集約できるという著者の指摘は、私の経験からも正しいと考えています。
当事者が親になったとき、ACEsの世代間連鎖を断ち切るためにどんな子育てを目指せば良いのか、本書にはそのためのヒントが詰まっています。

『発達障害サバイバルガイド』

著者 借金玉
出版社 ダイヤモンド社
出版日 2020年7月
ISBN 978-4-478-10892-5

「外出先でフラッシュバックが起きたらどうしよう…」
この強い不安から、家にこもりがちになっている人は多いのではないでしょうか。
私もそうでしたが、この本に出会って考え方が変わりました。
フラッシュバックが起きることが不安なら、それに備えた上で外出すればいいと分かったのです。
私はこの本を参考に、持ち物をわかりやすくしたり、かばんから取り出しやすくしたり…色々と工夫しました。
その結果、外出先でフラッシュバックを起こして解離状態になっても、なんとかやり過ごせるようになりました。
本書は発達障害の特性に悩む人に向けて書かれていますが、複雑性PTSDの症状によって日常生活が困難になっている私たちにも参考になります。

『親は選べないが人生は選べる(ちくま新書 1699)』

著者 高橋和巳
出版社 筑摩書房
出版日 2022年12月6日
ISBN 978-4-480-07525-3

人間は社会を形成して生きています。社会性の柱となる「他人との関わり方」の基礎になるのが、子どもの頃に体験する親子の愛着関係です。
親子の愛着関係が不適切である場合、子どもは心が未発達なまま大人になってしまい、その悪影響が一生続いてしまいます。
しかし著者は、成人後であっても適切にケアをすれば、普通の家庭で育った人よりも人を信じられるようになると指摘しています。
私はこの言葉を信じて、今でも心のケアに励んでいます。

『ACEサバイバー ─ 子ども期の逆境に苦しむ人々(ちくま新書 1728)』

著者 三谷はるよ
出版社 筑摩書房
出版日 2023年5月10日
ISBN 978-4-480-07551-2

子ども期の逆境体験(ACEs)を重ねた人ほど、成人後に貧困などの困難に陥る可能性が高いことを、多くの文献やデータを参照しながら論じています。
私も複雑性PTSDの発症により無職に陥りました。ですから、本書で紹介されている悲惨なデータも、大袈裟なものではないのだろうと思います。
本書の後半では、ACEsを減らすための取り組みについての考察があります。この問題に取り組んでくれている人が世の中にいることを知り、私はとても心強くなりました。同時に、当事者にも何かできることがあるのではないか…そのような考えを私に与えてくれました。

おといあわせ